THE HOTEL SANRAKU KANAZAWA

石川県金沢市に建つデスティネーションホテルの計画である。施設近辺には兼六園や金沢城公園、近江町市場などが位置し、デスティネーションホテルとして相応しい場所であるが、敷地の周囲には建物が迫っており景色が望めないため、ホテルの核となる中庭を設けた。

外観は、水平ラインを強調する庇、外壁面の凹凸を基調とし、地域の景観との調和を図っている。ホテル正面玄関には金沢古民家の特徴でもある面格子「木虫籠（キムスコ）」に見立てたテラコッタルーバーを設け、目隠しとともにアプローチの演出とした。エントランスの正面には中庭空間が広がる。「唯一無二の世界観」をコンセプトに圧倒的な存在と瑞々しい緑と滝の景が客をもてなす。客室は視線の交錯を避けて中庭を眺められる計画とし、四季折々の中庭の表情をホテル全体が享受できる。
インテリアは「古都、金沢の美を纏うーFeel The Tradition of KANAZAWAー」をデザインコンセプトに、「加賀五彩」という独自の伝統的な5色をカラースキームに構成。加賀友禅や組子格子をはじめ、金箔、輪島塗、九谷焼を取り入れ、加賀百万石の華やかさと普遍的な美を味わえる空間としている。
中庭の照明デザインは「光のきざはし」をコンセプトに四季の移り変わりに応じたシーン演出プログラムを設定。中庭の表情に奥行きをもたらす演出としている。

宿泊客が時を忘れて古都百万石金沢の歴史文化に身を委ね、ゆったりとした時間を過ごせる高品質なホテルづくりとした。